物語を奏でる

うちの小学生の息子は基本的にアップテンポでノリのいい曲が好きなのだけど、
ここ数カ月よく、そんな感じではない曲を繰り返し聴いている。吉井和哉の名曲「FLOWER」。いつもリピート設定にしてこの一曲だけを延々と聴いているので、
「この曲ってココロに染み込んでる?」と訊いたら、
「うん。深いよ、この曲」と言っていた。いい曲って年齢とか関係なく響くんだ、と思った。

私も「FLOWER」が吉井さんの曲の中で一番すきかも。この一曲の中に、ものすごくいろんなことが詰まっていると感じる。命の力強さも、はかなさも、誰かとともにに生きるということも、永遠も一瞬も、人のココロの弱さもけなげさも、業や苦悩、祈りや希望なんかも表わされていると。

この曲を聴いていて、河合隼雄さんと小川洋子さんの共著『生きるとは、自分の物語をつくること』というタイトルが思い浮かんだ。歌を歌うひとに当てはめていうとしたら、「生きるとは自分の物語を奏で、伝えること」になるのかな。その作品が「自分のうた」を超えて「みんなのうた」になったら最高だろうと思う。

吉井さんの歌は、しばしばドロリと濃くて、いつか、とある音楽雑誌の編集者が表現していた通り「血の匂いがする」と時々感じる。
曲を聴いていると、心臓のあたりにヒヤリとしたものを感じるような気がすることもある。いつの間にか、静かで真っ暗で誰もいない場所に連れていかれているのだ。
この「FLOWER」という曲では、ココロの内奥のブラックホールみたいなものも全部ひっくるめて認めた上で、それでもこの毎日はすばらしく、美しく、かけがえない時間なのだということが存分に表現されていると感じる。いくら聴いても聴きあきないし、何回聴いても感動してしまう。

現在ツアー中だという吉井さん。ラストの福島でのライブの模様は、
全国の映画館(約70箇所)でも同時に生中継されるそうです。

(以下は、「FLOWER」が収録されているCDです)

The Apples (初回限定盤)(DVD付)

The Apples (初回限定盤)(DVD付)

The Apples

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18(初回限定盤)(DVD付)

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18(通常盤)

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