声の色、なにいろ?

きのうの夜、
風呂上がり、寝る前にゆったりした曲を聴きたいな、と思って、
坂本龍一の、ずっと前(10年くらい前??)に発売されたアルバム
『BTTB』に収められたピアノの曲 ”tong poo”を聴いていた。

そうしたら、矢野顕子さんが歌う"TONG POO”も無性に聴きたくなり、
アルバム『ごはんができたよ』(名盤!!!)を棚から探して、曲をかけた。

ごはんができたよ

我が家の小学生の息子が、矢野さんの歌声を聴いて
「この声、ヤバイ...」という。
「え?どんな風にヤバイの?」
と聞いてみるも、息子はうまく表現できずにいる。

「ヤバイ」という言葉は、インパクトもあるしおもしろいから
私もときどき使ってしまうけど(「ヤバし」の方がすき)、
ニュアンスを伝えるのは不得意な言葉なんだな、と思った。

「どんなイメージ?」
と、矢野さんの歌声の印象を重ねて聞いてみたら、
息子は困ったような顔で
「...肌色。声が肌色っていうか、力強くないっていうか。
サンボマスターとかオカモトズとは違うっていうか。」と言う。

矢野さんの声が柔らかい感じに聞こえると言いたかったのかなぁ。
息子は矢野さんの歌声は苦手で、オカモトズみたいな歌声が好きなのだという。

私にとって、矢野さんの歌声はふんわりした感じに聞こえるけれど、
ときに、彼女の作品に、人と向かいあう事への真剣さから生じているように思える
毅然とした雰囲気を感じる。

また、作品から、きれいにみえるもの、きたなくみえるもの、
あかるくみえるもの、暗くみえるものなどなど
あらゆることをまるごと呑込み、包み込むような迫力を感じることも多い。
歌声に包まれていると、安心できるような....
しかし同時に、ちょっとおそろしいような感じがする。
そういう意味で、私にとって矢野さんの歌声はヤバイ。
同じ理由で、(椎名)林檎ちゃんや、平原綾香さんの歌声も...。
あと、中島美嘉さんの歌声も。
色に例えると何色かは分からないけど、
何か、花の色のイメージ。

(こう書いてみて気付いたのだけれど、
安心と、呑込まれるような恐ろしさを同時に感じるこのイメージは
まさに、ひとに共通に認められるものであるという「母なるもの」のイメージ...
心理学者のユングがいうところの、
産み出し、全てのものを呑み尽くす太母(=グレートマザー)のイメージだな、と思った。)

そういえば、大澤誉志幸さんは、
『Curve in New York』という本の中で、
「自分の声を色で表現すると何色に近いと思いますか」との質問に、
”いわし雲色”と答えていたなぁ...。

では、エレカシの宮本さんの声ってたとえると何色だろう、と
エレカシファンの私は思った。
曲にもよるけど、
すぐに思い浮かんだのは、夕焼け雲色。

その後、この歌声のイメージは?と息子に聞きつつ、
ジャニス・ジョプリンの名曲”MOVE OVER”
(息子のイメージだと、キレイなおねえさんがでてくる「ルパン三世」の
映画のエンディング曲っぽいとのこと)や
BAWDIES の曲を聴いたりしていたら、
すっかり、ゆったり気分とはかけ離れた気分になってしまった。